2007 Fiscal Year Annual Research Report
短時間の過酸化水素刺激による骨髄細胞の機能増強とそれに基づく血管新生療法の開発
Project/Area Number |
18790936
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
久保 正幸 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 非常勤研究員 (60420519)
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Keywords | 血管新生 / 骨髄細胞 / 再生医学 / 過酸化水素 / 活性酸素 |
Research Abstract |
自己骨髄細胞移植による血管新生治療は虚血性疾患に対する有望な治療法である。しかし、十分な細胞数の確保は難しく、細胞機能を増強する方法が模索されている。本研究では、低濃度の過酸化水素(H_2O_2)による短時間刺激によって骨髄細胞の血管新生能が増強するか否かを明らかとすることを目的とした。 本年度は、H_2O_2刺激した骨髄細胞を移植することによって、血管新生治療の効果が向上するか否かについてin vivoでの検討を行った。C57BL/6マウスのConunon femoral arteryとその分枝を結紫して、下肢虚血モデルを作製した。その際に、(1)H_2O_2刺激した骨髄細胞(1 × 10^7)(H_2O_2刺激群)、(2)無処理の骨髄細胞(1 × 10^7)(無処理群)、(3)PBSのみ(PBS群)をそれぞれ下肢虚血部筋肉内に4箇所注入し、14日目観察した。なお、H_2O2刺激は、前年度のin vitroでの検討に基づいて、5μM H_2O_2で30分間とした。虚血下肢筋肉における移植細胞の生存(GFP陽性)と内皮分化(VE-cadherin陽性)を組織学的解析を行うと、無処理の骨髄細胞と比較して、H_2O2刺激骨髄細胞では共に増強していた(治療14日目)。アルカリフォスファクーゼ法にて毛細血管密度を評価すると、H_2O_2刺激群では他群と比べ有意に増加していた(Pく0.05;治療14日目)。また、レーザードップラー法にて測定した虚血下肢の血流回復率は、H_2O_2刺激群では他群と比べ有意に上昇していた(Pく0.05;治療7、14日目)。 以上の結果から、H_2O_2刺激した骨髄細胞を移植することによって血管新生効果向上につながることが示唆された。短時間のH_2O_2刺激という本方法は、細胞移植治療に用いる骨髄細胞の機能を増強させる簡便かつ有用な手段と考えられる。
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