2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝虚血再灌流傷害に対する新たな遺伝子治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
18790940
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩谷 聡子 九州大学, 大学病院, 医員 (90419549)
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Keywords | 移植外科学 |
Research Abstract |
平成18年度は、冷虚血再潅流直後の肝臓におけるROSの産生源の解明についての研究を行った。動物実験モデルはラット肝移植とし、以下の方法を用いてROSの産生源について検討を行った。 (方法) 1.ドナーラットの肝組織中Kupffer細胞をCl2MDP-1iposome法を用いて消去した。 Cl2MDP-liposomeを作成し、投与後48時間の肝組織をED-1により免疫染色して、Kupffer細胞が90%以上消去されている事を確認した。 2.ドナー肝をコントロール群とKupffer細胞消去群の2群に分け、レシピエントへ肝移植し、再潅流直後のROS産生量を比較した。 (結果)再潅流直後(15分後〜30分後)の肝組織におけるROS産生量は、コントロール群とKupffer細胞消去群で有意差は認められなかった。ただし、30分後〜45分後ではKupffer細胞消去群で有意にROS産生量が少ない結果であった。 (考察)再潅流後のROS産生にKupffer細胞が強く関与していることは多くの研究報告があるが、経時的な変化を見た報告はない。本研究では再潅流後30分までのROSはKupffer細胞由来ではなく、30分以降のROSはKupffer細胞由来である事を示唆している。 虚血再潅流直後(〜30分)のROSが炎症反応最初のスイッチとなる可能性があるため、本研究では〜30分までのROS産生源を遺伝子治療のターゲットとする予定である。 我々の予備実験の結果と総合し、再潅流直後のROS産生源は肝細胞であると仮定して、来年度はDominant negative Rho-kinase(DNRhoK)をドナーの肝細胞に導入し、Rho-kinaseを介した、ROS産生経路の存在を証明すると共に、肝細胞のRho-kinaseが虚血再潅流傷害の遺伝子治療のターゲットになり得ることを証明する予定である。(786字)
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