2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌細胞における細胞内シグナル伝達の役割とその臨床応用
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18790948
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
横山 吾郎 久留米大学, 医学部, 助手 (00309808)
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Keywords | 乳癌 / PKC / G1 arrest |
Research Abstract |
(目的)ホルモンレセプター陰性乳癌に対する有効な補助療法はいまだに確立していないのが現状であるが、乳癌の生物学的特性を解明することにより有効な補助療法の確立を目的とし、ホルモンレセプター陰性乳癌培養細胞株SKBR-3を用いてprotein kinase C (PKC)を中心とした細胞内シグナル伝達機構および細胞周期に関して基礎的検討をおこなった。 (方法)SKBR-3細胞にPKCδadenovirus vectorを用いてPKCδを強制発現させた後の細胞増殖、細胞周期を中心とした細胞内シグナル伝達の変化について検討した。 (結果)SKBR-3細胞にPKCのactivatorであるPMAを投与するとPMAの濃度依存性に細胞の増殖が抑制され、96時間後の細胞数はcontrol群と比べ、3nMでは58.6%、10nMでは40.1%に減少した。SKBR-3にwild type PKCδadenovirus (WTPKCδAdV)を3MOI感染させた群は、コントロール群と比べ細胞増殖抑制が認められ、72時間後の細胞周期ではコントロール群のG0/G1期が48%であったのに対しWTPKCδAdV感染群ではG0/G1期が58%であった。PKCのinhibitorであるGF109203Xを5μM加えWTPKCδAdVを3MOI感染させると細胞増殖抑制は認められなかった。さらに、dominant negative (DN) PKCδAdV3MOI感染させた群でも細胞増殖抑制は認められなかった。 (結語)PKCδはSKBR-3細胞においてG1 arrestを引き起こすことが示唆された。
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