2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790949
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中村 和生 久留米大学, 医学部, 助手 (90389247)
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Keywords | 色素上皮由来因子 / 血管内狭窄 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
近年、糖尿病などの生活習慣病が急増するにつれ、糖尿病性下肢壊疽、閉塞性動脈硬化症などの患者の生活の質を著しく低下させる疾患も増加している。これらの疾患は、感染や下肢切断を余儀なくされる結果が多く、また治療、治癒困難な症例も多い。また、観血的手術は患者への侵襲も強く、患者への負担の軽い、効果的な新規治療法の開発が急務である。一方、我々が以前から注目している色素上皮由来因子(pigment epithelium derived factor、以下PEDF)は、1989年にヒト網膜色素上皮細胞から単離された因子で、神経細胞の分化や発生を即す作用がある事が知られている。さらに我々は、血管内皮細胞において、PEDFが抗酸化活性を有しており、糖尿病状態で促進的に生成される終末糖化産物やサイトカインによる酸化ストレスを抑制し、細胞障害において保護的に働く事を見出した。そこで我々は、バルーンによる血管傷害モデルを作製し、同モデルの傷害部位にPEDF発現アデノウィルスを感染させ、PEDFの血管内狭窄抑制効果を検討した。PEDF感染モデルでは、血管狭窄が80%抑制されていた。さらにPEDF感染群では、血管障害後の酸化ストレスやそのコンポーネントであるp22、gp91も有意に抑制されており、PEDFが血管内狭窄を抑制することが明らかとなった。近年、酸化ストレス産出、細胞周期には、長寿遺伝子とよばれるsilent information regulator-1(以下;SIRT-1)が関与している事が注目されており、今後は血管内狭窄におけるSIRT-1とPEDFとの関連について検討をすすめていく予定である。
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