2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌における分化規定遺伝子の解析と治療への応用
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18790966
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
播本 憲史 Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center, 九州がんセンター消化器外科, 医師 (00419582)
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Keywords | 肝細胞癌 / 分化 / マイクロアレイ / FGFR2 |
Research Abstract |
前年度にマイクロアレイを行い,低分化肝細胞癌で高発現していたFGFR2(fibroblat growth factor receptor 2)について当院で手術を施行した肝細胞癌初回切除症例46例に対してFGFR2monoclonal抗体を用いて免疫組織化学染色を施行した。腫瘍細胞が5%以上陽性所見を示した症例を陽性群とし,臨床病理学的因子別に比較検討した。 癌部では46例中16例が陽性であり非癌部の発現は認めなかった。宿主因子では陽性群のPTが有意に低値であったがPT(陽性群:陰性群)=(77%:87%),その他の因子では差を認めなかった。腫瘍因子では陽性群で低分化が有意に多く,vp陽性率が高かった。(高分化/中分化/低分化)(陽性群:陰性群)=(0/7/9):(6/16/8),vp(陽性群:陰性群)=(50%:10%)有意ではなかったが,陽性群ではAFP高値(陽性群:陰性群)=(264:24),PIVKAII高値(陽性群:陰性群)=(1223:199)の傾向であった。生存率では陽性群では有意に予後不良で,無再発生存率も予後不良の傾向があった(p=0.06)。生存に関する多変量解析では高度門脈浸潤陽性(vp2以上)が唯一の独立予後不良因子であった。再発に関する多変量解析でもPIVKAII1000以上,肝障害度B,vp2以上が独立した再発因子であった。門脈浸潤に関するロジスティック回帰分析を行ったところ,FGFR2は有意な因子とはならなかった。肝細胞癌において低分化への脱分化の過程でFGFR2は強発現し重要な役割を果たしていると思われる。臨床的に予後と関わるが,多変量解析では独立した予後因子ではなかった。血管浸潤との関連が考えられるが,今後の検計が必要である。
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