2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵および卵巣粘液性嚢胞腫瘍の発生起源と進展機序の解明
Project/Area Number |
18790974
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
鈴木 裕 杏林大学, 医学部, 助手 (30407001)
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Keywords | 外科 / 病理学 |
Research Abstract |
膵粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic tumor, MCT)と卵巣MCTは、いずれも肉眼的に巨大な多房性・単房性の嚢胞性腫瘍で、組織学的には粘液産生性の腫瘍細胞と、間葉性間質に支持されているという共通点を有する。今回の研究目的は、1.膵MCTと卵巣MCTに目標を絞り、両腫瘍の発生進展における異同を比較検討、2.膵MCTの発生進展機序、とくに卵巣様間質の組織学的性格、起源を解明、3.膵MCTが女性特有疾患である可能性とその理由を解明。以上3点である。方法としては、膵MCTと卵巣MCTを免疫組織学的に比較検討し、両腫瘍の病理組織学的異同について考察。検討項目は1.膵MCTの卵巣由来としての可能性を検討(正常卵巣組織との比較)。2.膵MCTの膵臓由来としての可能性を検討(正常膵組織IPMT,浸潤性膵管癌との比較)。 まず、症例集積から開始。当院における約10年間の症例をリストアップしたところ、8例の膵MCTと21例の卵巣MCTを集積し得た。コントロールとして10例の正常卵巣、8例の女性正常膵組織、7例の膵管癌女性例、9例のIPMT女性例を同様に検討した。これらを用い、免疫組織学的検討を開始。今年度は、いまだ両者を比較検討した報告がないp27/kiplを中心とした細胞周期制御因子を検討。まず、p27/kiplの検討をしたところ、膵MCT、卵巣MCTとも腫瘍細胞・間質細胞いずれも正常膵組織、膵管癌、IPMTと比し有意に高率に染色陽性であった。この結果を受け、当初予定に含まれていなかったpRbタンパクの染色を行ったところ、有意な差は認めなかった。しかし、腫瘍の発生・進展において、p27/kiplを中心とした細胞周期制御因子が関与している可能性が考えられた。 来年度は女性性腺ホルモンマーカーを中心に卵巣由来としてのマーカーの検討を行っていく予定である。
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