2006 Fiscal Year Annual Research Report
EBUS-TBNAによる生検組織を用いた低侵襲肺がん診断システムの構築
Project/Area Number |
18790986
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中島 崇裕 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20400913)
|
Keywords | 超音波気管支鏡ガイド下生険 / 肺癌 / リンパ節転移 / 上皮成長因子受容体 / DNA異常メチル化 |
Research Abstract |
超音波気管支鏡ガイド下生検(EBUS-TBNA)検体から、DNAを抽出するための標準プロトコール作成を行った。この過程で、多発性軟骨腫患者に発生した軟骨肉腫病変より採取した検体について、EXT1遺伝子変異解析を行った。変異は検出されなかったものの、EBUS-TBNA検体を用いた世界初の遺伝子変異解析!事例として、日本呼吸器内視鏡学会関東支部会にて症例報告するとともに、Respirologyに論文を投稿し、掲載された。 次に、肺腺癌リンパ節転移症例に対して、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の変異検索を行った。EBUS-TBNAを施行し、リンパ節に腺癌の転移を認めた43症例を対象に検討した。その結果、11症例でEGFR遺伝子変異を検出した。これらの結果は、第47回日本肺癌学会総会のワークショップにて発表した。また現在、論文投稿中である。本研究は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤使用時における患者選択に応用できる。 さらに、EBUS-TBNA検体を用いたDNA異常メチル化の解析を行った。現在、肺癌化学療法に使用されている抗癌剤の感受性に関連すると思われる6遺伝子の異常メチル化について解析を行った。30症例を対象に解析を行い、EBUS-TBNA検体から異常メチル化の解析が可能であることを示した。また、このうち26症例について、実際の抗癌剤感受性と比較検討したところ、抗癌剤の効果が見られなかった症例では、有意に異常メチル化の頻度が低いことを見いだした。この結果は、現在論文投稿中である。本研究は、進行・再発肺癌に対してより効果的な治療法選択に応用できるものと思われる。 これらの研究結果により、手術適応のない進行肺癌症例や術後再発症例でも、EBUS-TBNAにより遺伝子解析に十分な検体を得ることができ、治療経過に応じて検体採取および遺伝子解析を繰り返し施行できる新たな診断手法を確立しつつある。
|