2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790994
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上田 和弘 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (90420520)
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Keywords | 癌化学療法 / 血管再生 / 血管内皮前駆細胞 |
Research Abstract |
癌化学療法により強い骨髄抑制をきたす。化学療法後の造血に伴い、未熟なCD34陽性細胞が骨髄から末梢血中に大量に動員される。その未熟な細胞には血管内皮に分化する前駆細胞が含まれている。本研究の目的はこのような未熟な細胞が血管新生作用を介して腫瘍の進展・増大に影響を及ぼす可能性、およびその機序を解明することである。 C57BL/6マウスにcyclophosphamide(CTX:100 mg/kg)を1回腹腔内投与し、投与前(day 0)及び投与後の3、7、14、21日目に末梢血中の血管内皮前駆細胞数を抗CD34,flk-1抗体を用いてflow cytometryにより定量評価した。CTX投与1週間後に末梢血中のCD34陽性細胞数が増加すること、骨髄由来の未熟細胞の末梢血への動員を確認した。C57BL/6マウスにGFP transgenicマウスの骨髄細胞を移植し、キメラマウスを作製した。キメラマウス作成後5週目に、CTXを腹腔内投与し、投与3日後にLewis肺癌細胞(3LL)5x10^6個をマウスの背部皮下に注入し、皮下腫瘍モデルを作成した。腫瘍モデル作製後2,4,6,8日目に抗CXCR4抗体あるいはControl Igを腹腔内投与し、2,4,6,8,10,12,14日目に腫瘍サイズの測定を行った。腫瘍体積(サイズ)は抗CXCR4抗体投与群でControl Ig投与群より有意に少なかった。 CTX投与により血管内皮前駆細胞数が末梢血中に動員され、腫瘍進展に影響している可能性が示された。今後はモデルマウスから摘出した腫瘍組織内のGFP陽性細胞の浸潤と血管密度、腫瘍細胞の増殖率とアポトーシスを免疫組織学的に定量評価し、その詳しい機序を調べる予定である。
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