2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791003
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
川島 徹生 日本医科大学, 医学部, 助手 (80386226)
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Keywords | 肺癌 / CD1 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
ヒトCD1分子(CD1a、CD1b、CD1c)は樹状細胞に発現し、脂質抗原を結合してT細胞に抗原提示する機能を担っている。脂質抗原を認識して活性化されるCD1拘束性T細胞は、主としてCD8陽性キラーT細胞であり、感染細胞やがん細胞にアポトーシスを誘導できることから生体防御との関わりが注目されているが、その詳細は未だ明らかではない。本研究は、肺癌組織におけるCD1分子の発現を詳細に検討するとともに、肺癌病期・病態との関連について解析を行いCD1依存性免疫応答が担う腫瘍制御機構の実態を明らかにすることを目的としている。 研究期間内にわれわれは、肺癌患者の癌組織表面のCD1分子の発現および癌組織中の樹状細胞の有無をCD1分子をマーカーとして免疫組織化学的に検索した。肺癌におけるCD1分子の発現の有無および肺癌組織中への樹状細胞の浸潤が術後肺癌患者の生存率に関与しているか否かについて上記手法を用いて病理病期ごとに検索し、肺癌組織中のCD1発現と予後、およびCD1分子をマーカーとした肺癌組織中における樹状細胞の浸潤の程度と予後の関連について検討した。 現在までの研究において以下の成果を得ている。(1)外科切除された非小細胞肺癌表面、および肺癌細胞株表面にCD1分子が発現していることが認められた。(2)肺患者の生存期間と肺癌組織中への樹状細胞の浸潤に有意の相関(p=0.0053)が認められた。(3)組織におけるCD1cの発現と生存率との間に有意の相関が認められた。すなわち肺癌組織にCD1cが発現した肺癌患者はCD1cの発現していない患者と比べて生存率が高い(p=0.0476)ことが認められた。上記結果については今後症例数をさらに追加し、結果について詳細に検討する予定である。 以上の結果よりCD1脂質抗原提示系と肺癌患者の生存期間についてなんらかの関連があることが推測される。
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