2006 Fiscal Year Annual Research Report
モヤモヤ病患者髄液中の血管新生因子発現動態の網羅的解析と血管新生療法への応用
Project/Area Number |
18791007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤村 幹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00361098)
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Keywords | もやもや病 / 血管新生 / 過灌流 / 血行再建術 / 脳血流 / 血液脳関門 / 脳虚血 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
「研究の目的」 もやもや病の病態解明、術式選択、血管新生療法の開発に主眼をおき、虚血脳における血管新生との関与が推測される血管新生因子や細胞外マトリックス分解酵素(MMPs)発現を解析する。血行再建術後の臨床像と術後脳血流ならびに脳実質と脳血管の評価を行い、上記蛋白発現との関連を明らかにする。最終的にはラット虚血モデルを用い、候補蛋白導入による血管新生を含めた術後変化とこれら因子との関連を明らかにし、血管新生誘導療法への応用に基礎を確立することを目的とする。 「本年度の研究実施状況」 (1)もやもや病患者髄液中の血管新生関連蛋白ならびにMMPsの網羅的解析 もやもや病血行再建術中に10人の患者から髄液を採集した(コントロールとして未破裂脳動脈瘤患者からも採集)。ELISA法を用いて髄液中のMMPs発現動態を検討した。結果として、上記検体数では統計学的な有意な差は得られなかった。Protein Array法にて血管新生関連蛋白の解析を試みた。現在まで、候補蛋白の絞込みを行っており今後ELISAにて各蛋白についてコントロールと比較検討予定である。 (2)もやもや病血行再建術を行った連続32側において術後急性期の脳血流(SPECT)と脳血管・脳実質の形態学的評価(MRI)を行った。術後3ヶ月に脳灌流MRIにて術後血管新生と脳循環動態を評価した。もやもや病に対する血行再建術により脳虚血発作の消失、術後3ヶ月のバイパスなどを介した血流改善が見られた。一方、術後急性期には吻合部に限局した血流上昇による一過性神経脱落症状を呈する症例が少なからずみられた。もやもや病術後に過灌流による一過性神経脱落症状が起こりうることを初めてシリーズにて明らかにした。 (3)ラットを用い間接血行再建術を模擬した実験系を立ち上げた。今後、上記候補蛋白の導入による影響を検討予定である。
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Research Products
(4 results)