2006 Fiscal Year Annual Research Report
術中神経モニタリングの定量測定を可能にする脳表電極の開発
Project/Area Number |
18791016
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
後藤 哲哉 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (30362130)
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Keywords | 機能脳神経外科 / 電気生理モニタリング / 脳表電極 |
Research Abstract |
脳神経外科手術における術中電気生理学的モニタリングは、刺激電極や記録電極が術野から離れている場合には、術操作によらず定量的モニタリングが可能である。一方で術野に近い位置に電極を設置せざるを得ない場合、術操作に伴って電極の接地が不安定となるため、定量化は不可能である。脳表電極においてはマッピングのためのボール電極やモニタリングのためのシリコンストリップ電極などが多用されているが、これらを脳表に固定する方法はなく、脳表電極を脳表に固定する方法を確立するのが本研究の目的である。 1.直径4mmのシリコン電極の経皮質MEPでの通常の刺激条件(train 5 frequency 40mAでの定電流刺激)で刺激条件を1secで連続刺激すると、100秒以上で放電が観察された。放電の結果接地表面は黒化(炭化)した。放電の原因は接地抵抗の上昇による高圧刺激であった。表面積が小さく、設置が容易で、術操作にストレスを与えにくいとしてあらたに製作した直径2mmシリコン電極は定電流刺激を行ないつづけると接地抵抗の上昇が4mmの電極よりはやく、臨床使用には不可能であると判断された。 2.接地抵抗の上昇理由は電気分解による気泡発生であった。通常の脳表電極は設置安定性が悪いので、気泡が発生しても脳脊髄液や、リンゲル液などで洗い流されることがわかった。通電時の電気分解による各々の電極から塩素、水素ガスが発生することは電気で刺激している以上やむを得ない。直流矩形波でなくbiphasicで刺激すれば気泡の発生は理論上ない。 3.気泡を発生させないで10,000回刺激したベリプラストも、電気分解で蛋白の変性による新たな分子量の物質は発生しなかった。放電炭化が解決できればベリプラストによる固定電極の使用が可能になると判断した。
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