2008 Fiscal Year Annual Research Report
術中神経モニタリングの定量測定を可能にする脳表電極の開発
Project/Area Number |
18791016
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
後藤 哲哉 Shinshu University, 医学部・附属病院, 助教 (30362130)
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Keywords | 術中電気生理モニタリング / 脳表電極 / フィブリン糊 |
Research Abstract |
本研究の目的は定量評価可能な術中脳表電極を開発することにある。平成19年度までにフィブリン糊を用いた電極が手術で使用可能なこと、刺激電極としても通電に伴う脳組織のダメージを減少できることを確認したが、術中運動誘発電位測定における脳表直接高頻度電気刺激による脳障害を検討するため、動物モデルを作成した。全身麻酔下開頭ラット脳表を用い、刺激の強度、時間、回数、頻度の4つの条件を実際の臨床使用で変化させる範囲で変動させ、刺激後の脳のダメージとの関連を検討した。この結果、脳のダメージは与えた総電力量(Q=I^2Rtx刺激回数)に比例するものの、刺激強度と総刺激回数は刺激時間に比べて障害をより強く起こすことを新たに発見した。フィブリン糊を使用した脳表電極はフィブリン糊を使用しない電極に比べて、生体由来製品を使用するという欠点以外は見あたらなかった。固定力、安定力は使用しない電極に比べて強く、さらに高電流通電時の脳表のダメージを軽減することが分かった。フィブリン糊電極は臨床使用を行うに足る電極であることを証明した。 フィブリン糊を用いた脳表電極は、臨床医学方法論であるため特許性は認められないと判断した。フィブリン糊電極の有用性について、高頻度電気刺激が脳に与える影響について学会報告した。研究当初予定したフィブリン糊電極の臨床使用は脳表刺激そのものが保険使用上認められていないことから、この研究も認められないとされたが、脳表刺激のMEPの必要性は今後も更に重要性を増すのは明らかであり、早急に保険制度の問題点を改善する必要があると考えられた。
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