2006 Fiscal Year Annual Research Report
天然成分によるP53下流遺伝子を標的とした骨肉腫に対する新しい分子標的治療戦略
Project/Area Number |
18791050
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
坂部 智哉 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (20405301)
|
Keywords | 骨肉腫 / 分子標的治療 / 癌制御遺伝子 / 天然成分 |
Research Abstract |
p53遺伝子は骨肉腫においても高率に不活性化しているきわめて重要な癌抑制遺伝子であるが,p53下流遺伝子の発現をp53遺伝子非依存的に調節できれば,p53遺伝子の不活性化を有する骨肉腫細胞に対しても強力な抗腫瘍効果を発揮することが可能である.本研究の目的は,P53下流遺伝子を標的分子とした導入効率の高い天然成分を用いて,腫瘍組織選択的に強力な増殖抑制効果および殺細胞作用を有する新しい骨肉腫治療戦略を確立することである.天然成分のスクリーニングの結果,ブロッコリーなどに含まれるイソチオシアネート類の化合物であるsulforaphaneが,p53下流遺伝子のTNF(Tumor Necrosis Factor)レセプターファミリーであるDR5(Death Receptor 5)を骨肉腫細胞に著明に誘導することが明らかとなった。さらに,sulforaphaneとDR5のリガンドであるTRAIL(TNF-Related Apoptosis-Inducing Ligand)との併用で,正常末梢血単核球細胞には影響を及ぼさずに,骨肉腫細胞選択的かつ相乗的に著朋なアポトーシスを誘導することをin vitroで証明した.現在,in vivoにおいてsulforaphaneによるp53下流遺伝子の発現の確認,安全性の確認,原発巣および転移巣に対する抗腫瘍効果の検討を行ろている.また,b53下流遺伝手であるp21遺伝手の発現を誘導する新規の天然成分を同定しており,この薬剤における抗腫瘍効果に関しても検討中である.
|