2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性骨疾患における破骨細胞およびマクロファージ巨細胞の役割の解明
Project/Area Number |
18791056
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
八木 満 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40338091)
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Keywords | DC-STAMP / 細胞融合 / 破骨細胞 / 異物巨細胞 |
Research Abstract |
1)細胞融合遺伝子の転写機構の解明 われわれは、DC-STAMPがRANKLの刺激により強く発現誘導がかかることから、下流の転写因子、NFATc1とc-Fosに注目し、プロモーター領域でのそれぞれの結合領域に点変異を加えプロモーター解析を行い、これらの転写因子が破骨細胞分化において、強くDC-STAMPの発現誘導を行うことを確認した。また、c-Fos欠損マウスでは破骨細胞分化に伴いDC-STAMPが発現しないこと、NFATc1の核内移行を遮断するFK506により破骨細胞分化時にDC-STAMPが発現しなくなり、細胞融合が起こらないことを見出した。 一方、同条件でも異物巨細胞分化誘導時にはDC-STAMPは強く発現し、細胞融合が起こることを見出した。以上から破骨細胞分化と炎症におけるマクロファージの融合では異なった転写制御機構があることを見出した。慢性炎症時においてはPU.1とNFκBの結合領域に点変異を加えたプロモーターで発現解析を行い、これらの転写因子により、DC-STAMPは強く発現が誘導され、マクロファージは融合することを見出した。また、破骨細胞分化においてはNFATc1とc-Fosが、性炎症時においてはPU.1とNFκBがそれぞれ、直接DC-STAMPのプロモーター領域に結合することをクロマチン免疫沈降で確認した。同時に、破骨細胞融合がまったく起こらない、c-Fos欠損マウスでも、in vitroでDC-STAMPは強く発現が誘導され、異物巨細胞が形成されること、c-Fos欠損マウスの皮下に異物を留置した場合に、異物巨細胞を形成することから、生体における慢性炎症時の生理的なマクロファージの融合でも、同様に、破骨細胞とはまったく異なった転写制御機構により、PU.1とNFκBによりDC-STAMPの発現は制御され、細胞融合が起こることを明らかにした(Yagi et al. J Bone Miner Res. ahead of print)。 2)細胞融合機構の解明 DC-STAMPを介した細胞融合機構を明らかにするために、酵母two-hybrid法を用いてDC-STAMPの細胞内修飾分子の同定をすすめている。 3)マクロファージ巨細胞特異的機能の解明 In vitroにおける様々な発現分子の調査から、異物巨細胞は破骨細胞とは異なった表面分子を発現しており、破骨細胞に見られるような強い骨吸収能は持たない一方、異物の取り込み能は強いことをみいだした。
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