2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対するHepatocyte Growth Factorの有効性の確立
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18791057
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北村 和也 慶應義塾大学, 医学部, 嘱託(非常勤) (00383860)
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Keywords | 脊髄損傷 / Hepatocyte growth factor / 霊長類コモンマーモセット / 神経栄養作用 / 血管新生 / 軸索伸展 / 運動機能回復 |
Research Abstract |
近年Hepatocyte Growth Factor(HGF)の中枢神経系に対する神経栄養作用が明らかとなってきており、脊髄損傷に対するHGFの有効性を明らかにすることが本研究の目的である。脊髄損傷前後での内在性HGFおよびc-Met(HGF受容体)の発現変化を調べたところラット脊髄内でのc-Met mRNA発現は損傷直後より急激に増加するのに対し、HGF mRNA発現は緩やかに増加するのみであった。そこでHGF発現ウィルスベクター(HSV-HGF)を脊髄に注入し3日後に同部に圧挫損傷を作製したところ、損傷後1週のラット脊髄においてCaspase-3活性の抑制、新生血管の増加が、損傷後6週では前角細胞数、髄鞘面積、GAP43、RT97および5HT陽性神経線維が有意に多く認められ、下肢運動機能回復を有意に促進した(accepted for publication in Journal of Neuroscience Research on 26-Mar-2007)。次に臨床応用へ向け、ラットおよびコモンマーモセット脊髄損傷モデルに対しrecombinant human HGFを損傷後から脊髄くも膜下腔に投与する実験系を開始した。劇症肝炎や肝硬変、虚血性心筋症、閉塞性動脈硬化症においてはHGFはすでに臨床治験段階に入っている。ラットを用いて詳細なメカニズムを解析し、コモンマーモセットを用いて霊長類に対するrecombinant human HGFの安全性、有効性を確立することで臨床応用へ大きな1歩を踏み出すことが今年度の目標である。
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