2006 Fiscal Year Annual Research Report
周術期の呼吸管理における肺傷害マーカーに関する研究
Project/Area Number |
18791071
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山本 衛 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (90422477)
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Keywords | 肺傷害 / バイオマーカー / 周術期 / 肺胞上皮 / RAGE |
Research Abstract |
RAGE (Receptor for Advanced Glycation Endproducts)は、肺においては、I型上皮細胞において特異的に発現しているタンパクで、免疫グロブリン・スーパーファミリーに属する膜結合タンパクのひとつである。受容体としては、複数のリガンドを持ち、代表的なものに、AGE (Advanced Glycation EndProducts)、HMGB-1(High-Mobility Group Portien B1)、S100蛋白、アミロイドβペプチドなどがあげられている。肺における生理学または病態生理学的な役割については明らかになっていないが、RAGEは糖尿病などにおいて、さまざまな炎症反応の過程に関与していることが明らかにされつつある。最近、われわれのグループでの、動物モデルを使った研究により、急性肺傷害にて、血中のRAGEレベルが上昇していることが明らかとなった。 本研究では、22名の心臓血管手術患者(胸部大動脈手術14例、弁置換または弁形成術6例、腹部大動脈手術2例)における術前術直後のRAGE濃度を測定した。 術直後の血漿中のRAGE濃度は、軽度ながら、有意に上昇した(術後2.2(range 0.8-13.0)ng/ml vs術前1.0(range O.7-8.9)ng/ml)。これらの値の上昇は、手術中における肺組織への傷害を示唆するものと考えられた。今後、症例数を増加させてこれらの所見を確認する必要があると考えられる。
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