2007 Fiscal Year Annual Research Report
局所麻酔薬とオピオイドの脊髄疼痛制御機構における相互作用の機序の解明
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18791074
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柳舘 富美 Gifu University, 医学部附属病院, 助教 (60313889)
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Keywords | MAPK / 脊髄後角ニューロン / ERK / カプサイシン / 局所麻酔薬 |
Research Abstract |
リドカインに代表される局所麻酔薬は、脊髄レベルでの疼痛制御のため、臨床でよく使用されている薬である。局所麻酔薬の作用は、末梢で投与された場合は、Naチャンネルブロッカーであることは、よく知られているが、脊髄くも膜下腔、硬膜外腔など、脊髄をターゲットに投与された場合は、より複雑で脊髄疼痛制御機構において、MAPKの役割が解明されていない。今回、脊髄後角ニューロンでのMAPKのーつであるERKの活性を、ラットの脊髄を用いて検討した。カプサイシンによりERKの活性が生じることがわかっているので、侵害刺激の一つとして用いた。局所麻酔薬をカプサイシンと一緒に投与することで、カプサイシンによるERKの活性を抑制するかを、リドカインだけでなく、各種局所麻酔薬を用いて、検討した。局所麻酔薬としては、リドカイン、ブピバカイン、テトラカイン、ロピバカイン、レボブピバカインを用いた。過去に我々は、ブピバカインが、カプサイシンによるERKの活性を抑制し、その効果は、細胞外からのカルシウムの流入をブロックすることであると、結論した(Yanagidateら、Anesthesiology、2006)。今回の結果は、使用したすべての局所麻酔薬(2mM)において、カプサイシンによるERKの活性を抑制したが、リドカインのみ、コントロールレベルまで抑制されなかった。リドカインのみ、濃度を5mMまで増加させると、コントロールレベルにまで、抑制された。なお、各種局所麻酔薬の単独では、コントロールと比べて有意な差はみられなかった。脊髄後角ニューロンにおいては、各種局所麻酔薬は、カプサイシンによるERKの活性を抑制することが解明された。(658文字)
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