2006 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性気管平滑筋収縮に対する麻酔薬の作用の研究:ラット喘息モデルを用いて
Project/Area Number |
18791084
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西岡 健治 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70380904)
|
Keywords | フェンタニル / 気管平滑筋 / アレルギー性気管収縮 |
Research Abstract |
臨床麻酔において使用される頻度の高い鎮痛薬、鎮静薬の喘息による気管支収縮に及ぼす影響を明らかにすることは、喘息患者が安全に手術を受けるために必要であると考え、ラットの喘息モデルを用いて、各種麻酔関連薬剤のアレルギー性気管支収縮に対する作用とその機序を解明し、臨床現場に反映させたいとして研究を行った。本研究では、ラットをオブアルブミンで感作し、その気管を摘出し、オブアルブミンで刺激することで、即時型アレルギー反応類似の気管収縮を誘発し、収縮力を測定する。これに対し、フェンタニル、ブプレノルフィン、ペンタゾシンといった臨床で比較的頻用されている鎮痛薬で、収縮の抑制がおこるか、その程度はどれくらいかを調べた。その結果3剤の中ではフェンタニルがもっとも強くこれを抑制した。この抑制効果は、オピオイド受容体アンタゴニスト(ナロキソン)で完全には、拮抗されず、オピオイド受容体を介さない機序が示唆された。また、セロトニン受容体アンタゴニスト(ケタンセリン)、神経遮断薬(テトロドトキシン)との組み合わせで同様の実験を行った。これにより、その抑制効果は、抗原刺激に伴うセロトニン放出による気管平滑筋収縮よりも、むしろ気管の副交感神経終末からのアセチルコリン放出の抑制によることが示唆された。また、このフェンタニルによるアレルギー性気管収縮の抑制効果は、人工呼吸中の感作ラットにオブアルブミンを投与して起こる気道抵抗の増大(喘息発作)をも抑制し、従来強力といわれてきた吸入麻酔薬の気管支拡張効果にはやや劣るものの、生体での効果も確認できた。以上の結果を恵文にまとめ、報告した。
|
Research Products
(1 results)