2007 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性麻酔薬の腎虚血再潅流障害に対する保護効果とその分子細胞機構の解明
Project/Area Number |
18791087
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三好 宏 Nagasaki University, 医学部・歯学部付属病院, 助教 (90332858)
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Keywords | 腎臓 / 虚血再灌流 / 揮発性麻酔薬 / プレコンディショニング / アポトーシス / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
Wister系雄性ラット(250g〜300g)を、ペントバルビタールにて麻酔を行い、気管挿管した後、ベンチレーターにて呼吸管理を行った。両側側腹切開下に、両側腎動静脈を尿管も含めてマイクロクリップを用いて40分間のクランプを行う腎臓虚血再灌流モデルを用いて以下の3群に分けた。 (1)揮発性吸入麻酔薬を投与せず、虚血も行わないシャム群。 (2)揮発性吸入麻酔薬を投与せず、虚血のみ行う群。 (3)揮発性吸入麻酔薬を投与し、虚血を行う群。 それぞれの群で、24時間、48時間後に採血を行い血清クレアチニン値とBUN値を測定した。 (1)のシャム群ではクレアチニン値とBUN値は変化がなかった。24時間後と48時間後のクレアチニン値は、(2)では、2.4±1.2mg/dl,2.9±0.9mg/dlであり、(3)では、1.2±0.7mg/dl,1.1±0.2mg/dlであった。BUN値は、(2)では、99±29mg/dl,187±31mg/dlであり、(3)では、62±19mg/dl,79±20mg/dlであった。 腎臓虚血再灌流後、5分後、40分後、90分後に腎臓を摘出し、ホモジナイザーを使用しホモジナイズを行った。ウェスタンブロッティング法を用いて、p38,ERK, JNKのキナーゼ活性を測定した。虚血のみ行った群では、p38, ERK, JNKの各蛋白は、再灌流5分後より活性上昇を認めた。p38は、90分後にピークになった。ERKは、5分後に、JNKは、40分後にピークを認めた。ERK, JNKの活性は、90分後も高いレベルを保っていた。揮発性吸入麻酔薬を投与した群では、ERK, JNKの活性は40分後、90分後で有意に低下していた。 揮発性麻酔薬(イソフルラン)は、腎虚血再灌流障害に対して抑制作用を持ち、その抑制作用は、ERK、 JNKを介した作用であることが示唆された。
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