2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工呼吸時の気道内圧の差が気道内のMUC(mucin)2の発現に及ぼす影響
Project/Area Number |
18791090
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉良 慎一郎 大分大学, 医学部, 助手 (70404374)
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Keywords | 人工呼吸 / 肺傷害 / ムチン |
Research Abstract |
人工呼吸を含む機械的伸展を肺に施すと、サイトカインを含む様々な炎症性メディエータが放出されることが以前かち知られており、これらのサイトカインの中でIL-1βやTNF-αなどは、気道の粘膜上皮を覆うムチンの一種であるMUC2などの遺伝子を活性化し、粘液の産生を亢進することが判明してきた。粘液の産生自体は、外界からの異物や刺激に対し、物理的に上皮を覆って、生体を守るために必要な生体防御反応の一つと考えられるが、過剰な産生はガス交換を妨げ、血液の酸素化を悪化することにつながると思われる。また、ムチン自身が緑膿菌などの細菌のcolonizationに関与するという報告がある。本研究では、人工呼吸器で気道内圧を変化させることによる肺への機械的伸展が、気道におけるMUC2遺伝子の活性に与える影響を明らかにすることを目標としてきた。.平成18年度は、pressure control ventilatorとデータ解析コンピュータの購入により、最適なventilationの環境設定と新たなtarget物質の模索を行った。その結果、最高気道内圧が30cmH2Oに達するとラットは2時間以上人工呼吸下での生存は難しいことが判明した。この時、大量の粘液性および漿液性の液体が気管内に認められるため、過伸展による肺胞壁の破綻による肺水腫とmucinが関与する可能性が示唆された。Mucinにも多種類あり、文献的に渉猟すると、MUC2のほかにも肺傷害時にはMUC5ACが関与する可能性が考えられた。よって、これも含めて平成19年度は、新たに研究を進めていく必要性が求められた。
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