Research Abstract |
リドカインの神経毒性に対する重亜硫酸ナトリウムの効果を明らかにする. 本実験では当教室の実験室で飼育している水棲カタツムリを用い,中枢神経を培養する. 1)リドカインの神経毒性に対する重亜硫酸ナトリウムの効果:単体の中枢神経細胞を条件培養液の入ったMED64ディッシュにて培養する.12〜24時間後に,倒立顕微鏡を用い,伸びた神経突起と,その先端の成長円錐を確認する.デジタルカメラで観察記録する.その後,MED64で活動電位を記録した.ディッシュ内のリドカイン濃度をそれぞれ100μM,1mM,10mM,100mMにし,30分間MED64で細胞体,神経突起,成長円錐の活動電位を記録する.その後,倒立顕微鏡を用い,各濃度の細胞体,神経突起,成長円錐を観察する.同様に重亜硫酸ナトリウム濃度を0.002,0.02,0.2,2%にし観察記録する.次に,局所麻酔薬と重亜硫酸ナトリウムの混合液を用いて実験を行い比較検討する.2)細胞内カルシウム濃度の測定:1)と同様に中枢神経細胞を培養する.ディッシュ内に10μMの蛍光プローブFura-2AMを加え,60分間放置しwash-outする.ディッシュ内に1)で明らかになった,クロロプロカイン,リドカインが培養細胞を破壊する,あるいは電気生理学的に変化を生じた濃度を加え,細胞内カルシウム濃度の変化を測定する,重亜硫酸ナトリウムを加えることで細胞内カルシウム濃度の上昇を抑制できるか,そのときの細胞内カルシウム濃度の変化を比較する.Fura-2による蛍光は,340/380nmの光を与え510nmの励起光を測定することで細胞内カルシウム濃度を測定する. 中枢神経細胞のMED64ディッシュでの培養が難しく,細胞体の活動電位は計測できるものの,神経突起、成長円錐の活動電位が計測できない.細胞体に対し,リドカイン,重亜硫酸ナトリウムとも,濃度依存的に細胞毒性を生じる傾向にある.今後,神経突起,成長円錐に対してのデータを収集する予定である.
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