2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞障害に対する水チャネル<アクアポリン>の保護的作用と新しい脳浮腫治療への応用
Project/Area Number |
18791093
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安藤 雅樹 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (10381865)
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Keywords | 脳浮腫 / アクアポリン / アストロサイト / 中枢神経 / 脳保護 |
Research Abstract |
脳浮腫は頭部外傷、脳血管障害、脳腫瘍など様々な病態に随伴して発症し、しばしば致命的となるにもかかわらず、依然として治療法は浸透圧利尿薬の投与や外減圧術などの対症的なものに限られている。また、脳浮腫の発生機序でさえ十分には解明されていなかった。水チャネルであるアクアポリン4(AQP4)は、様々な臓器に発現し、水の移動の調節、細胞容積の調節、ホルモンの分泌に関与している。申請者の研究室ではこれまでに、脳において多種類のAQPが発現し、水の移動や脳脊髄液の産生・吸収に関与していることを報告してきた。さらに申請者は、初期実験により、AQP4の機能が低下すると低酸素による細胞障害が容易に起こることを最近見出した。つまり、APQ磯能が低下すると細胞が脆弱化する可能性を発見した。そこで、本研究では、まず(1)簡易な細胞障害モデルとして、培養アストロサイトを用いた低酸素負荷による障害モデル系を完成する。次に、(2)RNAi(interfering RNA)を用いてAQP4発現を低下させた(ノックダウン)培養細胞系を作成し、(1)のモデルを適応してAQP4発現が低下した細胞は細胞障害が起こりやすくなることを明らかにする。同時に、その機序を詳細に検討する。さらに、(2)によりAQP4機能あるいは発現を維持することで細胞脆弱化が抑制できることが明らかとなれば、(3)AQP4機能を維持する化合物や方法を見出し、新しい脳浮腫治療薬開発を目指す。RNAiを用いたAQP4ノックダウン培養細胞株の確立を試みた。培養アストロサイトにAQP4mRNAを阻害するためのRNAi(正確にはshort hairpin RNA : shRNA)を導入し、AQP4発現の低下は抗AQP4抗体を用いたウエスタンブロット法により確認した。これにより、アストロサイトにおけるAQP4発現量の調節が可能となった。現在、細胞株の選択を行っており、今後、AQP4発現量の低下により細胞の性質がどのように変化するかを検討していく予定である。
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