2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経特異的ナトリウムチャネルを標的とする新たな疼痛治療法の開発
Project/Area Number |
18791094
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (60347466)
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Keywords | 疼痛 / 知覚神経 / Naチャネル / RNA干渉法 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
神経特異的なナトリウムチャネルであるNav1.9に対して、si-RNAを用いたRNA干渉法によってその発現を抑制させることが、種々の痛みを抑制するか否かを調査する目的で以下の実験を行った。 投与経路の確立 Nav1.9の発現は一次知覚神経の神経核(dorsal root ganglion : DRG)に認められる。si-RNAを効率よくDRGに投与する手法としして髄腔内投与が効果的か否か検討した。 ラットに髄腔内カテーテルを挿入し、FITCで標識したsi-RNAを投与した。24時間後DRGを採取し、蛍光顕微鏡でFITCの発現を確認した。si-RNAを投与したラットDRGでは一次知覚神経で強い蛍光シグナルが認められ、si-RNAを一次知覚神経に投与する場合には髄腔内投与は効率よい手法であることが確認できた。 si-RNA投与による痺痛閾値の変化 Nav1.9に対するsi-RNAを投与し行動解析により疹痛閾値への影響を解析した。行動解析は機械刺激と熱刺激を用いた。si-RNAの投与したラット足底にブラジキニンを注入し行動解析を行った。ブラジキニン投与により疼痛閾値の低下すなわち痛覚過敏が生じたが、痛覚過敏の程度はsi-RNA投与群において減弱していた。 これらの結果より、Nav1.9に対するsi-RNAの髄腔内投与は一次知覚神経のNav1.9発現を低下させブラジキニン投与により誘導される急性疼痛を減弱させることが明らかにされた。
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