2006 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経受容体の中枢神経作用-脳内α2、β受容体の機能の解明
Project/Area Number |
18791097
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鳥山 澄子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (70419711)
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Keywords | 交感神経受容体 / デクスメデトミジン / 脳波 / 皮質脳波 |
Research Abstract |
今年度は、下記の方法によって、痙攣脳波に対する交感神経α_2受容体の効果を明らかにすることができた。本研究中で用いた脳波の解析法は、てんかんを有しない正常症例にも応用でき、今後応用範囲が広いと考えられる。 難治性てんかんに対して選択的海馬摘出術を予定された患者を対象として臨床研究を行った。研究に先立ち、大阪市立大学医学部附属病院倫理委員会の認可を得、各々の患者には研究内容を説明の上、書面で許可を得た。気管挿管下で酸素-セボフルラン(2.5%)で麻酔を行い、臭化ベクロニウムの持続投与で筋弛緩を得た。開頭、皮質脳波(electrocorticogram)測定のための電極留置が終了した後に血圧・心拍数の監視下でデクスメデトミジンを投与した。投与は専用のコンピューターソフトウェアー(Stampump^<【○!R】>)およびシリンジポンプを用いてtarget controlled infusion(TCI)を行い、0.5、1.5ng/mlでの脳波の変化を検討した。各濃度での投与開始15分後に採血し、デクスメデトミジンの血中濃度を高速液体クロマトグラフー質量分析装置(liquid chromatography-mass spectrometiy)で測定した。その結果、1.5ng/mlのデクスメデトミジンによって脳波の周波数の中央値(median frequency)は有意に低下したが、デルタ、シータ、アルファ、ベータの各周波数帯域に含まれる脳波のパワーは変化しないことが明らかになった。この原因として、2.5%のセボフルラン麻酔での脳波の主成分がデルタ波であることが考えられた。また、痙攣(スパイク)波の数に対しては、0.5、1.5ng/mlのデクスメデトミジンは影響を与えず、新たな痙攣波の出現は認められないことが明らかになった。以上の結果から、交感神経α2受容体は寵栄波を誘発せず、これらの症例に対しても優れた鎮静作用を発揮することが示唆された。
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Research Products
(1 results)