2006 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の中枢神経作用におけるカルシニューリンの関与
Project/Area Number |
18791104
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 友紀 自治医科大学, 医学部, 助教 (50406047)
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Keywords | 麻酔薬 / 中枢神経作用 / カルシニューリン |
Research Abstract |
麻酔薬のシグナル伝達経路のひとつとして、カルシニューリンの位置づけを確立するために、本年度はまず、簡便な薬理モデルとしてカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリン投与モデルをマウスで作成し、シクロスポリン投与による情動行動を各種行動テストを用いて検討した。 B6マウスにシクロスポリンを腹腔内投与し、ホームケージにおける運動量を測定したところ、総運動量が減少することが判明した。次に、不安行動の指標として高架十時迷路テストを行ったところ、壁内通路の滞在時間が減少したことより、シクロスポリン投与で不安行動が増大することが示唆された。さらに、社会行動として二匹のマウス間の行動を観察したところ、シクロスポリン投与下では互いに離れてホームケージに滞在することより、社会行動が異常になることが判明した。 さらに、前頭前野におけるセロトニンとドーパミンの放出をマイクロダイアリシス法で検討したところ、シクロスポリン投与により、セロトニンおよびドーパミンの放出量が減少することが判明した。 以上の結果より、シクロスポリン投与により、前頭前野におけるセロトニンとドーパミンの伝達が障害され、前頭前野の機能が低下し、上記のような行動テストバッテリーにおける異常が生じている可能性が考えられた。
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