2006 Fiscal Year Annual Research Report
移植腎慢性拒絶反応の病態解明と新たな診断基準の確立
Project/Area Number |
18791112
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
相田 久美 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (40400684)
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Keywords | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 病理学 / 慢性拒絶反応 |
Research Abstract |
移植腎生検症例を収集し、臨床データの整理・分類および解析を行った。次に、全症例の移植腎生検標本を検鏡し、Banff分類に基づいて慢性拒絶の有無を組織診断した。 次に、本研究の目的である新たな診断基準の作成を試みた。研究代表者は、移植腎の傍尿細管毛細血管(peritubular capillary, PTC)基底膜の肥厚に着目しており、その程度や分布を定量的に評価する方法の確立を試みた。最初に、0-3の4段階評価にてPTC基底膜肥厚を評価したところ、3,4の高スコアはBanff分類の慢性拒絶とよく相関することが明らかになった。しかし、複数の腎病理医に今回使用した症例を個別に評価してもらったところ、4段階評価は観察者間の乖離が大きく、再現性に問題があることが判明した。そこで、評価方法を0-2の3段階評価に簡略化し、再度有用性、再現性について検討した。3段階評価法では、4段階評価で0,1だったものを0にまとめ、2を1、3を2とした。3段階評価法では、スコア2が慢性拒絶とよく相関する結果が得られた。スコア0,1では多少観察者間の乖離が生じるものの、スコア2は観察者間でほぼ完璧な一致が得られた。 以上より、PTC基底膜肥厚は慢性拒絶と高い相関があること、基底膜肥厚は簡明な3段階評価法で鑑別することが可能であることが証明された。 本研究内容について論文執筆を行い、American Journal of Transplantationに受理掲載された(Am J Transplant.2007 Apr;7(4):923-9)。
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