2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791124
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 賢士 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (50336228)
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Keywords | 腎癌 / コレステロール / エステル / 脂質代謝 / スカベンジャーレセプター / コレステロール引き抜き / 生活習慣 / ACAT |
Research Abstract |
平成20年度は、2008年2月にinternational journal of urology誌2008 Feb ; 15(2):166-70 2008 Feb ; 15(2) : 166-70 に発表した"Expression of two isozymes of acyl-coenzyme A : chol esterol acyltransferase-1 and-2 in clear cell type renal cell carcinoma"に基づきさらに腎癌コレステロール蓄積機構についての研究を発展させた。すなわち、前述の論文で腎癌にコレステロールエステル蓄積が亢進する原因の1つとしてAcyl-coenzyme A : cholesterol acyltransferase(ACAT)活性の上昇とアイソザイムの1つであるACAT-1発現の亢進を報告した。平成20年度はコレステロール取り込みに関わるスカベンジャー受容体に注目し、その一員であるSR-AIおよびCD36の発現を検討した。具体的な方法として、腎細胞癌患者12症例より組織を得た。SR-AI、CD36、および生理的なコレステロール取り込みを担うLDL受容体、さらにコレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA reductaseのprimerを用いてRT-PCRを行った。その結果、腎細胞癌では正常組織と比較してLDL受容体およびHMG-CoA reductaseの発現は変わらなかった。これに対してSR-AとCD36は、発現の増加を認めた。更に、コレステロール引き抜きに関与する分子の1つであるABCA-1の腎癌における発現亢進も観察された。以上の結果から、以下のように考察した。CE蓄積の機構は、動脈硬化巣のマクロファージ(Mφ)において研究が進んでいる。興味深いことにMφでもACAT-1、SR-A、CD36の発現増加が報告されている。肥満は腎細胞癌の危険因子の一つであり、腎細胞癌においても肥満に伴う脂質代謝異常とこれら分子の関与が示唆される。生活習慣病の1つとしての癌という観点からこの知見は重要であると考えられる。尚、この知見は第97回日本泌尿器科学会総会において発表した。
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Research Products
(1 results)