2008 Fiscal Year Annual Research Report
フタル酸による精子形成障害へのテトラヒドロビオプテリンによる予防と治療の試み
Project/Area Number |
18791137
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
寺山 隼人 Tokyo Medical University, 医学部, 助教 (00384983)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / フタル酸エステル / 精巣 / 精子形成障害 / 予防 / 治療 / マウス / リンパ球浸潤 |
Research Abstract |
2006、2007年度に、内分泌かく乱物質であるフタル酸エステル(DEHP : オリエンタル社)の投与濃度による精子形成への影響を観察した。また、精子形成障害に対するテトラヒドロビオプテリン(BH4 : 第一アスビオファーマ社)の治療効果を検討するために、BH4の投与時期や投与方法、使用マウス種の条件検討をした。その結果、高DEHP濃度の長期間投与すると精巣にリンパ球浸潤が認められる事がわかった。また、低DEHP濃度においてA/Jマウスは感受性に個体差が少なかった。以上の結果から2008年度はA/Jマウスに(1)0.1%DEHP食餌とBH4(10mg/kg・筋肉内注射で連日投与)を長期同時投与し、投与後6週目での治療効果、および(2)0.5%DEHP食餌とBH4(20mg/kg・BH4を給水に混ぜ自由摂取)を同時投与し、投与後2週目で治療効果を検討した。(1)DEHP+BH4投与群およびDEHPのみ投与群との比較において、両群ともに肉眼的に変化はなかった。また、光学顕微鏡下で両群ともに同程度の精子形成障害が認められ、BH4の治療効果は確認できなかった。その原因として、精子形成障害の程度に差が認められ難い程にDEHP投与量が少なかったこと、BH4の投与方法(筋肉内注射)に問題があると考えられた。(2)DEHP+BH4水投与群およびDEHPのみ投与群を比較し、両群ともに肉眼的に変化はなかったが、光学顕微鏡下ではDEHP+BH4投与群に多少の精子形成障害の改善を認めた。今後、実験条件を改善する事で、DEHP暴露による精子形成障害についてBH4が治療効果を示す可能性があると思われる。
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