2006 Fiscal Year Annual Research Report
超低出生体重児の消化管成熟に向けた治療戦略:肺サーファクタントを用いた動物実験
Project/Area Number |
18791147
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
西島 浩二 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (80334837)
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Keywords | 肺サーファクタント / 胎脂 / ミセル / 超低出生体重児 / 消化管成熟 |
Research Abstract |
肺サーファクタント製剤(サーファクテン^<【○!R】>;三菱ウェルファーマ)と胎脂を用いて作成したサーファクテン・ミセル溶液を、妊娠23日目のウサギ羊水腔内に持続投与し、7日後に、胎仔の小腸絨毛に生ずる変化を観察した。また、対側子宮の羊水腔内には生食水を投与し、コントロールとした。 i)形態学的検討:小腸の絨毛形態を、HE染色と電子顕微鏡で観察した。サーファクテン・ミセル投与群では明らかに絨毛構造が成熟し、上部・下部小腸の絨毛長は、それぞれ対照の141倍、140倍に有意に成長した。 ii)機能評価実験:次いで小腸機能の変化を、長鎖脂肪酸吸収能で評価した。小腸上皮を反転して培養し、胆汁酸でミセル化した^<14>Cパルミチン酸を加え、5分後に^<14>Cの取り込みを計測した(Everted intestinal sleeve tecnique)。ミセル溶液投与により、絨毛100mg当たりのパルミチン酸吸収量は、それぞれ130倍、168倍に増加した。 次に、サーファクテン・ミセル溶液が、どのような機序で小腸絨毛を成熟させるのかを検討するために、Anti-Surfactant Protein B polyclonal antibody (AB3780, CHEMICON Internactional, Inc)を用いて、免疫組織化学的検討を行った。positive controlには、ウシ肺組織を使用した。 サーファクテン・ミセル溶液投与後のウサギ胎仔の各臓器を、AB3780とダコLSAB2キット/HRPを用いて免疫染色した。 小腸上皮細胞の表層は、強く染色されたが、細胞質の染色性は弱かった。また、胎仔の肝臓は全く染色されなかった。この結果から、サーファクテン・ミセル溶液は、小腸絨毛に対して、局所的・直接的に作用している可能性が高いと考えた。この結果は、サーファクテン・ミセル溶液を投与しても、ウサギ胎仔の小腸の全長には変化が見られないこと、さらには、ウサギ胎仔の体重にも変化が見られないこととも、矛盾しないように思えた。
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