2006 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌患者での制御性T細胞の発現・機能の解析ーその操作による免疫療法に向けて
Project/Area Number |
18791152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 治彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (70402857)
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 腫瘍免疫 / 自己免疫 / 制御性T細胞 / GITR |
Research Abstract |
難治である進行婦人科癌に対する新たな免疫療法戦略の一つとして,CD25+CD4+制御性T(regulatory T, TR)細胞により維持されている免疫抑制の解除による抗腫瘍免疫反応の誘導が注目されている.CD25+CD4+TR細胞の免疫抑制能に関与する分子として,マウスにおいてglucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor family (GITR)が知られている.マウスGITRはリンパ球系細胞,特にCD25+CD4+TR細胞に強発現しており,抗マウスGITRモノクローナル抗体はin vitroでCD25+CD4+TR細胞の増殖抑制能を解除する.また実際に担癌マウスに抗GITR抗体を投与すると,CD25+CD4+TR細胞の免疫抑制能の解除およびエフェクター細胞の強化の結果,協調的に腫瘍拒絶免疫応答が誘導される. ヒトにおいて抗GITRモノクローナル抗体を用いる新たな腫瘍免疫療法の可能性が示唆されることより,ヒトGITRを強制発現させた細胞株を作製し,これを抗原としてマウスを免疫し,抗ヒトGITRモノクローナル抗体を樹立した.この抗体を用い,ヒトリンパ球系細胞におけるGITR発現の分布を解析した.結果として,GITRはCD25+CD4+TR細胞に発現しており,活性化刺激にてヘルパーT細胞・細胞傷害性T細胞においても発現が誘導された.NK細胞にもGITR発現がみられた.さらに,in vitroにおいて抗GITR抗体が各種T細胞に及ぼす作用につき検討した.結果として,CD25+CD4+TR細胞がヘルパーT細胞,・細胞傷害性T細胞の増殖活性を抑制する現象は抗GITR抗体の用量依存的に解除され,ヘルパーT細胞,細胞傷害性T細胞自身の増殖活性も抗GITR抗体の用量依存的に亢進した. ヒトにおいてもGITRがCD25+CD4+TR細胞の免疫抑制能やエフェクターT細胞の活性化に重要な役割を担っており,抗GITR抗体によってCD25+CD4+TR細胞の免疫抑制能を解除し婦人科癌に対する免疫反応を惹起できる可能性が示された.
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Research Products
(2 results)