2008 Fiscal Year Annual Research Report
GnRH神経細胞におけるエストロゲン・プロゲステロン調節遺伝子の解析
Project/Area Number |
18791166
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
吉田 浩 Yokohama City University, 大学病院, 助手 (50405007)
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Keywords | 生殖医学 |
Research Abstract |
研究結果 : マイクロアレイ法にて選別したGT1細胞におけるエストラジオール、プロゲステロン調節遣伝子群の中からNO synthetase 3(NOS3)に注目した。本遣伝子は、マイクロアレイ法によりGT1細胞においてエストロゲン存在下で有意に増加し、プロゲステロン存在下で減少する結果が得られた。NOはこれまでGnRH5神経細胞において興奮作用を呈し、特にエストロゲンのポジティブフィードバックがかかるLHサージの時期に一致してその視床下部濃度が高まることが報告されており、LHサージ機構に重要な役割をはたしている可能性が示唆される。 われわれは性ステロイドによるGT1細胞においてのNOS3発現調節をreal tme PCR法を用いて検討し、NOS3遣伝子はエストロ-ゲン存在下でおよそ1.5〜2.1倍に増加した。一方、予想に反してプロゲステロン存在下ではその発現量に変化が見られなかった。 さらに、NOS3遺伝子特異的にノックダウンさせるsiRNAを3種デザインし、目的遣伝子のノックダウン効率を直接GT1細胞へ遺伝子導入することにより検定した。この中でもっとも低濃度でNOS3発現を抑えられたsmNAはほぼ100%のNOS3蛋白発現抑制が見られた。しかしながら、siRNA発現によるGT1細胞への障害は予想以上に強く、増殖曲線に影響を及ぼすばかりでなく、細胞内カルシウム蛍光色素Fura2を簡易的に用い、観察したところ、カルシウムオシレーションの観察頻度も著しく低下していた。 そこで、GT1細胞内でsiRNA発現を導入する組み替えアデノウイルスを作成した。しかしながら、NOS3 siRNA発現アデノウイルスは低MOI(5MOI以下)においても細胞毒性が強いことがわかった。細胞毒性により、一旦予定していた還流実験ではなく、static culture studyへの簡易的な実験系に変更したが、siRNA発現アデノウイルスに感染させたGT1細胞は培養皿から容易に剥脱してしまうなどのトラブルにより、いまだ実験結果が得られていない。今後も本実験系が継続できるのであれば、細胞接着剤、ビーズなどへの接着を考慮している。 今回のスクリーニングにより、ealcium sensing receptorが豊富に発現していることが明らかとなり、近年細胞間の情報伝達機構の一つとして報告されている蛋白である。本蛋白のGnRH分泌機構における役割について見当を加えた。
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