2006 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群の血管内皮機能障害に対する葉酸の改善効果の基礎的検討
Project/Area Number |
18791167
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 珠生 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (20405210)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 葉酸 |
Research Abstract |
妊娠高血圧腎症血管ではアンギオテンシンII(Ang II)の感受性の増大と共に内皮由来弛緩因子(EDRF)機能障害が知られている。そのモデル動物として、ニトログリセリン(NTG)長期投与によりEDRF機能障害を発生させた動物を用いてきた。このモデルでは、AngII1型受容体(AT_1R)が増加し、その結果、血管内での活性酸素(O_2^*)産生が増加し、EDRFとくに内皮でのNO産生の減少が認められること明らかにした。今回、内皮由来NO反応性を低下させるメカニズムについて検討すると共に抗酸化薬のEDRF保護作用について検討した。 日本白色ウサギ(2.5-3Kg)にNTGテープ5mgを10日間貼付した。また、同時にolmesartan(Olm)3mg/dayまたはascorbic acid(AA)6g/dayを経口投与した。腸間膜動脈を摘出して血管標本を作製した。 この標本においてdihydroethidium(DHE)の蛍光量からO_2^*産生量を測定したところ、O_2^*産生はNTG群で増加し、Olm群やAA群はコントロール群程度に正常化した。 この標本からtotal RNAを抽出し、定量PCR法にてAT_1RmRNAとEDRFの一つであるnitricoxide(NO)のsecond messengerであるcGMPの標的分子であるproteinkinase G(PKG)mRNAを測定したところ、AT_1RmRNAはOlm群のみに増加を認めた。一方、PKGmRNAはNTG群で低下が認められたが、Ol群で正常化したが、AA群において一部正常化した。 この結果より、NTG長期投与動物血管においてAT_1RはO_2^*産生を増やし、内皮由来NO反応性の減少によるEDRF障害を発生させた。その障害は抗酸化薬の大量投与により一部改善した。この結果は、抗酸化剤のみの投与は通常量のみでなく、大量投与したとしても我々が現在進めている妊娠高血圧腎症患者での血管内皮機能異常を改善するには不十分である。すなわち、L-アルギニン+葉酸投与により内皮におけるO_2^*やNO産生系のバランスの調節が必要であることを支持すると考えられた。
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