2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791168
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
竹井 裕二 Jichi Medical University, 医学部, 助教 (00398520)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 婦人科 / 血管新生抑制 / ウイルスベクター |
Research Abstract |
我々は、予後不良とされる婦人科進行癌に対して、VEGFを標的とした遺伝子治療の研究をスタートさせた。用いた遺伝子は、VEGF受容体-1の可溶型で、VEGFのアンタゴニストとして作用するsoluble Flt-1(sFlt-1)と最近VEGFの産生抑制作用があると言われている癌抑制遺伝子PTENである。 本年度は、以下の成果が得られた。 1)sFlt-1発現アデノ随伴ウイルスベクター(AAV-sFlt-1)の有害事象の検討 作製したAAV-sFlt-1をヌードマウスに筋注した際の血算、肝機能、腎機能、創傷治癒について、採血、摘出臓器の免疫染色、体重減少で検討したが、コントロールと比較し有意差はなかった。検討した範囲では、AAV-sFlt-1の有害事象はほとんどないと言える。 2)卵巣癌モデルマウスに対する、PTENの効果の検討 卵巣癌細胞株SHIN-3にPTENを遺伝子導入し、得られた安定発現株SHIN-3/PTENをヌードマウスの皮下あるいは腹腔内に投与した。 その結果、SHIN-3/PTEN群ではコントロールと比較し、皮下腫瘍の増殖が顕著に抑制され、腹膜播種を抑制し、マウスの生存期間を延長させた。 3)上記2)の結果をもたらしたPTENの作用機序の一端の解明 SHIN-3/PTENの培養上清中のVEGF濃度、および、SHIN-3/PTEN腹腔内接種マウスの腹水中のVEGF濃度は、コントロールと比較し有意に減少し、また、SHIN-3/PTEN皮下接種マウスの皮下腫瘍内新生血管数も有意に抑制された。
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