2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア依存性アポトーシスにおけるStAMP遺伝子の発現と制御機構の解明
Project/Area Number |
18791172
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
樋口 隆幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30365332)
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Keywords | StAMP / マウス / ステロイド産生 / ミトコンドリア / アポトーシス / 卵巣 / 副腎 |
Research Abstract |
Steroidgenic acidic mitochondorial protein(StAMP)はマウス卵巣特異的遺伝子発見プロジェクトで同定された酸性のミトコンドリア蛋白であり、副腎や卵巣、精巣に発現を認め、ステロイド合成過程に関与している可能性がある。本研究では、ステロイド産生細胞であるマウス副腎皮質腫瘍由来のY1細胞株を用いて、StAMPの発現抑制がステロイド合成やミトコンドリアの機能や形態に与える影響について検討した。StAMPのsiRNAを導入して、StAMPのmRNAと蛋白レベルでの発現量の変化を、それぞれrealtime RT-PCRとウェスタンブロットで確認した。その結果、ともに著しい発現抑制が認められた。同様にStAMPの発現を抑制し、培養液中のプロゲステロン濃度の変化をRIAで測定したところ、cAMPの刺激下ではStAMPの発現抑制によって有意にプロゲステロン濃度が減少した。ミトコンドリアは様々な形をとり、分裂と融合を繰り返して形態を維持する。そこでミトコンドリアの形態変化に着目し、蛍光顕微鏡下でMito Tracker Redで染色し、StAMPのsiRNA導入後の変化を観察した。その結果、StAMP発現抑制群ではミトコンドリアが核周囲に凝集し、分裂・断片化する所見が認められた。本研究により、StAMPの発現抑制がcAMPの刺激下でのプロゲステロン産生量の減少と、ミトコンドリアの凝集や断片化などの構造変化を導くことが示された。近年、ミトコンドリアの形態とアポトーシスとの関連が見出されているが、本研究によりStAMPはミトコンドリアの機能や形態維持を介して、ステロイド産生に関与している可能性が示唆された。
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