2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791186
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田渕 経司 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (80361335)
|
Keywords | 音響性障害 / グルココルチコイド / RU486 / phospholipase A2 / GABA / muscimol |
Research Abstract |
内耳音響性障害の治療にグルココルチコイド剤は現在頻用されている。グルココルチコイド製剤の保護作用が、グルココルチコイド受容体を解するものか否か、検討を加えた。マウスを用い、4kHz純音を128 dBSPLで4時間負荷したところ、メチルプレドニゾロンは有意に音響負荷後の蝸牛障害を軽減した。すなわち聴性脳幹反応(ABR)の閾値の上昇を有意に軽減し、負荷後2週での外有毛細胞の消失率を優位に低下した。グルココルチコイド受容体の阻害薬であるRU486をメチルプレドニゾロンとともに投与したところ、メチルプレドニゾロンの保護効果は用量依存性に減少した。グルココルチコイドが受容体と結合することにより、phospholipase A2を抑制することが知られている。Phospholipase A2の拮抗役であるキナクリンの投与は音響性障害を有意に軽減した。このことから、グルココルチコイドの保護作用の一つとして、phospholopase A2の抑制効果がある可能性が示唆された。 音響性障害では有毛細胞障害の他、蝸牛求心性神経障害が惹起され、障害後の一過性閾値上昇の一因となることが報告されている。本障害を軽減する可能性を有する因子の一つとして、GABA受容体作動薬が挙げられる。GABAは蝸牛遠心性神経の神経伝達物質の一つであり、グルタミン酸神経毒性を軽減することがよく知られている。BABAAおよびGABAB受容体作動薬をそれぞれ上記のマウスの音響性障害モデルで投与し、その効果を検討した。GABAA受容体作動薬であるmuscimolは有意に音響性障害後のABR閾値上昇を抑え、蝸牛求心性神経の膨化を軽減したが、GABAB作動薬の投与ではこのような保護効果は確認できなかった。このことから、BABAA受容体の作動が音響性障害の軽減に有効であることが示された。
|
Research Products
(2 results)