2006 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリンは咽喉頭における求心性の神経伝達物質か?
Project/Area Number |
18791202
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河本 勝之 鳥取大学, 医学部, 助手 (50304217)
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Keywords | アセチルコリン / 咽喉頭 / 神経 / 免疫組織 / 味覚 |
Research Abstract |
従来,形態学的にコリン作動性神経を同定するのに有用な方法はアセチルコリン合成酵素(ChAT : choline acetyltransferase)抗体を用いた免疫染色とされていたが,現在使われているChAT抗体の多くは中枢神経系のコリン作動性神経を明瞭に同定できるものの,末梢神経系のコリン作動性神経を同定するのは困難であり,コリン神経研究の大きな障害となっていた。これに対し最近,ラットの翼口蓋神経節のChAT mRNAのsplice variantから作製された抗体(peripheral type ChAT ; pChAT抗体)は,末梢のコリン作動性神経を同定するとされ,このpChAT抗体によって従来存在しないと考えられてきた系にもコリン作動性神経が検出された。 われわれはラットの咽喉頭粘膜においてpChAT抗体を用いた免疫組織化学的な検討を行った。その結果,軟口蓋,舌根部,喉頭蓋舌面,喉頭粘膜内に多くのpChAT陽性神経が認められた。舌咽神経,迷走神経の切断を行うと,同領域のpChAT陽性神経は消失した。また,舌咽神経の下神経節と迷走神経の下神経節内にはpChAT陽性神経細胞が認められた。以上の結果から,アセチルコリンが咽喉頭粘膜の知覚の神経伝達に関与している可能性が示唆された。 続いて、ラットの舌乳頭においてpChAT抗体を用いた免疫組織化学的な検討を行った結果,茸状乳頭,葉状乳頭,有郭乳頭の乳頭内もしくは周囲にpChAT陽性神経線維が認められた.従来,味覚の神経伝達物質の詳細は不明であったが,今後、更なる神経支配の検討を必要とするものの,アセチルコリンが味覚の神経伝達に関与している可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)