2007 Fiscal Year Annual Research Report
慢性副鼻腔炎における予後不良因子の遺伝子発現制御機構に関する解析と臨床応用
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18791239
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉川 衛 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (50277092)
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / polyI:C / 線維芽細胞 / インターフェロン誘導性遺伝子 / 遺伝子発現制御 / クロマチン構造 |
Research Abstract |
慢性副鼻腔炎の治療においては少なからず予後不良例が存在しており、このような症例では何らかの予後不良因子の存在が推測された。慢性副鼻腔炎患者のうち難治症例として非アトピー性気管支喘息合併例(AIAを含む)と、対照として非合併例から手術時に採取した鼻組織由来の線維芽細胞を培養し、ウィルス由来二重鎖RNAを認識するレセプターであるToll-like receptor (TLR)3を介する応答性の違いについて検討を行った結果、TLR3のリガンドであるpolyI:Cで刺激を行うと、難治症例由来の細胞ではIP-10やI-TACを含むいくつかのインターフェロン(IFN)誘導性遺伝子の発現が減弱しており、各培養細胞に保存された遺伝子発現パターンの変化が慢性副鼻腔炎の難治化に関与している可能性を示唆した。TLR3を介したIFN誘導性遺伝子の発現についてはアダプター分子であるTRIFまたはIPS-1を介するシグナル伝達経路が知られている。そこで、難治症例の鼻副鼻腔粘膜に存在する線維芽細胞では、IFN誘導性遺伝子の発現を調節しているこれらのシグナル伝達因子に何らかの変異が存在し、IFN誘導性遺伝子の発現を減弱させているのではないかと考えた。本研究課題においては、同種細胞間においてこのような自然免疫の反応性の違いが生じる機序を解明することを目的として、炎症組織に存在する線維芽細胞のIP-10やI-TACなどのIFN誘導性遺伝子の発現過程におけるクロマチン構造の変化や転写制御を含めた遺伝子発現制御機構について検討を行った。さらに、これらの因子についで慢性副鼻腔炎の難治化への関与だけでなく、治療における新たな標的となり得るかについても検討を行った。
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