2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791245
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
河本 光平 関西医科大学, 医学部, 助手 (50425071)
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Keywords | 内耳 / 再生 / 有毛細胞 / 幹細胞 / 遺伝子導入 / アデノ随伴ウィルス |
Research Abstract |
感音難聴の治療を目的として、感覚細胞である内耳有毛細胞の再生を試みた。内耳への遺伝子導入はその導入効率の高さからアデノウィルスベクターが用いられてきたが、内リンパ腔へ投与しないとコルチ器への遺伝子導入ができないために臨床応用を考慮した際、不適切である。そこで我々は毒性のないウィルスベクターであるアデノ随伴ウィルス(AAV)を用いた。血清型を選択することによってターゲティングできる可能性があり、AAV-1,2,5,7,8,9の6種を使用した。投与方法は臨床応用可能である外リンパ腔投与である。モルモット内耳にAAVを投与して7日後に断頭し、内耳内の遺伝子導入の分布を検討した。遺伝子発現は主に内有毛細胞と支持細胞に認められた。AAV-7,9ではspiral limbus、spiral ligamentの線維芽細胞への遺伝子導入が可能であった。蝸牛コルチ器への遺伝子発現はAAV-2において最も効率よく認められた。聴覚閾値の変化をみるために聴性脳幹反応(ABR)を用いて4,12,20kHzの周波数帯で評価した。コントロール溶液(人工外リンパ液)を投与した群と、AAV-2を投与した群において術後の閾値変化はどちらとも10dB前後であり、優位差は認められなかった。以上より、AAVを用いた内耳への遺伝子導入はその手技が簡便であり、かつ血清型によっては遺伝子導入の効率も高く、聴覚閾値に支障をきたさないため、将来的に臨床応用できる可能性を示唆していた。今後は難聴のモルモットにおける遺伝子発現の分布を検討し、その後に支持細胞が有毛細胞へと形質転換する遺伝子であるAtoh1を組み込んで内耳有毛細胞の再生を試みる予定である。当大学病理学教室と共同でマウス大腿骨から骨髄細胞をとりだし、培養したのちに間葉系の幹細胞を取り出した。現在は幹細胞がどのような細胞へ分化可能であるか検討中である。
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