2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性網膜変性モデルラットに対する光ストレスの影響
Project/Area Number |
18791256
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石川 太 弘前大学, 医学部, 助手 (00419962)
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Keywords | 遣伝性網膜変性症 / 網膜光傷害 / 光ストレス / ロドプシン / RCSラット |
Research Abstract |
遺伝性網膜変性モデルラットに対する光ストレスの影響を組織学的・生化学的に多角的に検討した。本研究により、遺伝性網膜変性モデルラットに対する光ストレスは比較的弱照度であっても、網膜変性を進行する方向に作用し、機能的異常ないし組織学的異常を来たすことが判明した。その変化は機能異常に関しては正常ラットの一部では可逆性変化であったが、中強照度の光ストレスにおいては不可逆性変化であった。この傾向は色素を有するラットよりもアルビノラットにおいて顕著であった。弱照度の光ストレスを遺伝性網膜変性モデルラットに照射すると、網膜保護に関与する因子が網膜において産生され、これが網膜変性に対して変性遅延の方向に働くことが考えられたが、アポトーシス促進因子の減少やアポトーシス抑制因子の増加は遺伝子レベル・蛋白質レベル、双方においてみられなかった。弱照度の光ストレスを網膜変性モデルラットに与えることによる、網膜変性抑制治療は本研究成果からは効果が望めないと考えられた。また、遺伝性網膜変性と網膜光障害における網膜変性の共通のメカニズムとして、ロドプシンリン酸化状態の病的延長説が考えられた。これは実験的にロドプシンのリン酸化状態を光ストレス後正常網膜と遺伝性網膜変性モデル網膜においてそれぞれ測定したところ、そのパターンが共通していたことから考案するに至った。ロドプシンのリン酸化が過剰におこり、脱リン酸化が病的に遅延していれば、視細胞内でおこる視覚情報伝達経路の最終段階である、細胞内カルシウムイオン濃度上昇が続き、カルシウムイオン濃度依存性の細胞死に陥るのである。網膜変性症を全て、本説で説明するのは難しいが、本研究により遺伝性網膜変性の原因の一端は解明されたと思われる。
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