2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791259
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加治 優一 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50361332)
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Keywords | 増殖性糖尿病網膜症 / 蛋白糖化最終産物 / CML / ペントシジン / イミダゾロン / AGE受容体 / 可溶化RAGE / 糖尿病網膜症 |
Research Abstract |
増殖糖尿病網膜症および他の網膜硝子体疾患に対して硝子体手術を行う際に硝子体液を採取し,200症例分以上をストックした.硝子体液における蛋白糖化最終産物(AGE)の中でもCML(N^ε(carboxy)methyl-L-lysine),pentosidine, imidazoloneの濃度を測定した.その結果,増殖糖尿病網膜症において有意にAGE濃度が増加していることが明らかになった.殊に糖尿病性黄斑浮腫の硝子体液中のAGE濃度はきわめて高い傾向にあった.また,硝子体液中のAGE濃度は,HBA1c(%)と相関を認めたものの,患者の年齢には大きく影響されなかった.よって,硝子体液中のAGEは,加齢性変化ではなく糖尿病に伴って増大すること,糖尿病黄斑浮腫の原因となりうることが明らかになった. また,糖尿病網膜症の発症におけるAGEとAGE受容体の相互作用を調べるために,C57/BJ6マウスおよびRAGEトランスジェニックマウスに対してストレプトゾシンを腹腔内投与し,糖尿病を誘発した.上記マウスに対してAGEとAGE受容体の相互作用を抑制する目的で,RAGEの細胞外ドメインを可溶化させた可溶化RAGEを投与した.その結果,高血糖やRAGEトランスジェニックマウスでは網膜血管透過性や網膜血管への白血球粘着が著しく亢進すること,高血糖かつRAGEトフンスジェニックマウスではその反応がさらに顕著となることが明らかになった.また可溶化RAGEを全身投与することにより,全てのモデルで網膜血管透過性や網膜血管への白血球粘着を抑制することができた.すなわち,糖尿病網膜症の発症にAGEとAGE受容体の相互作用が関連することが明らかになった.またAGE受容体を阻害する製剤により糖尿病網膜症が予防・治療できる可能性があることが明らかになった.
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