2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791259
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加治 優一 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50361332)
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Keywords | 蛋白糖化最終産物 / 蛋白糖化最終産物受容体 / 糖尿病網膜症 / 網膜血管透過性 / D-アミノ酸 / D-アスパラギン酸 / 加齢黄斑変性症 |
Research Abstract |
・糖尿病網膜症の発症に,蛋白糖化最終産物(AGE)とその受容体である受容体(RAGE:receptor for AGE)が重要な役割を果たしていることを動物実験を用いて証明した.網膜血管におけるRAGEの発現を増大させたトランスジェニックマウスにおいては,糖尿病網膜症の指標である網膜血管の透過性亢進と網膜血管への白血球粘着の増大が観察された.また,AGEとRAGEの相互作用を抑制するために,可溶化AGE受容体を作成し,糖尿病マウスに投与した.その結果,可溶化RAGEは糖尿病網膜症の指標である網膜血管の透過性亢進と網膜血管への白血球粘着の両者を有意に抑制した.よって,網膜血管内皮や周細胞に発現されているRAGEと,網膜血管中のAGEが相互作用することが糖尿病網膜症の発症を促進することを直接的に証明することができた.さらにAGEとRAGEの相互作用を抑制するという,新しい糖尿病網膜症の治療法について提案することができた. ・蛋白糖化最終産物(AGE)をはじめとした,蛋白質の翻訳後修飾が糖尿病合併症や加齢性変化を誘発することが明らかになってきた.われわれは,生体には本来存在しないはずの右手型アミノ酸(D-アミノ酸)を含んだ蛋白質が眼内に蓄積し,さまざまな疾患の病態にかかわることを見出した.まずD-アスパラギン酸を含んだ蛋白質を認識する抗体を作成し,ヒトの眼球における局在を検討した.その結果,網膜血管内皮,網膜内境界膜,水晶体,網様体無色素上皮基底膜など,D-アスパラギン酸は幅広く眼内に沈着していた.さらに成人の最大の失明原因である加齢黄斑変性症の前駆病変であるドルーゼンがD-アスパラギン酸含有蛋白質の凝集物であることを明らかにすることができ,加齢黄斑変性症の新しいメカニズムとして提唱することができた.
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Research Products
(24 results)