2006 Fiscal Year Annual Research Report
目標眼圧の再評価と新しい視野解析プログラム及びインプラント手術の可能性について
Project/Area Number |
18791268
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石田 恭子 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (80334936)
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Keywords | 難治性緑内障治療 / Ahmed Glaucoma Valve / インプラント装置 / 定量性のある緑内障手術 / Ex-press / 正常眼圧緑内障 / 目標眼圧 / 長期予後の改善 |
Research Abstract |
結膜瘢痕例や、数回の線維柱帯切除術失敗例などの難治性緑内障に対する治療手段として、日本では毛様体破壊術が行われるが、眼球勢などの重大な合併症があり、視力良好例では行いにくいのが現状である。そこで、難治性緑内障に対する治療として、インプラント装置Ahmed Glaucoma Valve(以下AGV)を用い、従来型のポリプロピレン製AGV(以下P-AGV)とシリコン製の新しいAGV(以下S・AGV)の手術成績を前向きに比較検討し、世界で最初に報告した。S-AGV群で、術後眼圧下降、手術成功率、合併症の発生率において良好な結果が得られた。本研究結果により、インプラント手術の難治性緑内障治療に対する有効性を示すとともに、インプラント素材が、手術成績に影響を与えることを臨床的に証明した(英文雑誌掲載)。 現在主流の緑内障手術法である線維柱帯切除術は、房水の流量が不定であり、術後早期の低眼圧等の合併症が起きやすく、その定量性に問題があるといわれている。これに対し、定量性のある濾過手術を確立するため、ステンレス製のtubeを強膜下(Ex-press)に埋め込み一定量の濾過量を得ることができる新しい手術法を試み、従来と同程度の眼圧下降を得ながら有意な合併症の削減を得られる可能性を報告した(英文雑誌掲載)。 眼圧上昇が緑内障の病態を悪化させる危険因子であることは古くから知られていたことであるが、特に正常眼圧緑内障(NTG)の多い日本人にとっては、進行抑制のためにどの程度の眼圧下降が必要であるかについては不明な点が多い。そこで、150人のNTG患者の手術予後について新しい視野プログラムを用いて解析し、進行性のNTGに対しては眼圧値の30%下降、あるいは10mmHg程度に維持することが最も長期予後を改善させることを明らかにし、具体的な目標眼圧値を明確にした(本研究はH18日本緑内障学会で発表済み)。
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