Research Abstract |
眼圧上昇が緑内障の病態を悪化させる危険因子であることは古くから知られていたことであるが,特に正常眼圧緑内障(NTG)の多い日本人にとっては,進行抑制のためにどの程度の眼圧下降が必要であるかについては不明な点が多い。そこで,150人のNTG患者の手術予後について新しい視野プログラムを用いて解析し,進行性のNTGに対しては眼圧値の30%下降,あるいは10mmHg程度に維持することが最も長期予後を改善させることを明らかにし,具体的な目標眼圧値を明確にした(本研究は日本緑内障学会で発表済み,英文雑誌に投稿中)。一方眼圧の高いタイプの狭義の原発開放隅角緑内障(POAG)200人でも,同様の解析を行い,目標眼圧の検出を行った。病期初期では,眼圧の30%以上の下降あるいは,最高眼圧19mmHg未満,平均眼圧14mmHg,病期中期及び後期では,30%以上の眼圧下降並びに,最高眼圧14mmHg,平均眼圧12mmHg程度が,多くの日本人の緑内障性視野進行を抑制しうる目標眼圧と判明し,今後の治療指針を示した(本研究は臨床眼科学会で発表済み)。 難治性網膜剥離治療のために使用されたシリコンオイルによる続発緑内障に対して,インプラント装置Ahmed Glaucoma Valveを用い治療し,手術成績を前向きに検討した。術後眼圧下降,手術成功率において良好な結果が得られた。本研究結果により,シリコンオイル眼の難治性緑内障治療に対するインプラント手術有効性を証明した(米国眼科学会にて発表,英文雑誌掲載予定)。 緑内障は形態学的な異常と機能的な異常(視野異常)をその診断の根拠とするが,機能障害出現時点では既に多くの神経線維が障害されている。そこで,機能障害出現以前の極早期に緑内障性の形態学的な変化を捉える試みとして3次元眼底カメラを用いた緑内障早期検出プログラムの作成を試みた(緑内障学会発表,日眼会誌掲載)。
|