2006 Fiscal Year Annual Research Report
酵素を用いたケミカルビトレクトミーの基礎及び臨床研究
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18791283
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
望月 泰敬 九州大学, 大学病院, 助手 (40419601)
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Keywords | ケミカルピトレクトミー / 網膜硝子体疾患 / Brilliant Blue G / 硝子体手術 / 内境界膜剥離 |
Research Abstract |
1.コラゲナーゼを用いたケミカルビトレクトミーについての検討 2型コラゲナーゼが硝子体の液化と網膜に与える影響についての検討を行った。ブタ眼の硝子体腔に2型コラゲナーゼを注入したところ、硝子体の液化と同時に網膜の収縮と裂孔形成を認めた。さらに光学顕微鏡により組織学的検討を行ったところ、網膜層構造の著しい乱れが認められた。現段階において、コラゲナーゼは臨床応用には不適であり、今後更なる検討を要すると考えられた。 2-a,後部硝子体皮質にっいての臨床的・組織学的検討 網膜硝子体界面の接着が強い星状硝子体症を伴う網膜硝子体疾患12例に対して、トリアムシノロンアセトニド(TA)を用いて硝子体手術を行った。術前より解剖学的な後部硝子体剥離を生じていると判断された2例においても、手術中にTAを用いることで硝子体の残存が確認された。また、摘出した内境界膜を組織学的に検討したところ、透過電子顕微鏡像において内境界膜の硝子体腔側に細胞成分を欠く無定型構造物が認められた。これらの結果から星状硝子体症を伴う網膜疾患においては完全後部硝子体剥離が生じていないことが示唆された。 2-b.硝子体手術で使用するアジュバントの可能性についての検討 あらたな硝子体手術アジュバントとして期待されるBrilliant Blue G(BBG)を使用し、硝子体手術における有効性を検討した。今回、内境界膜を剥離することが不可欠である黄斑円孔網膜剥離に対して、内境界膜の視認性を高める目的でBBGによる染色を行った。内境界膜の剥離は比較的容易になり、BBGは手術時間の短縮に有用であった。また、術後経過について11ヶ月間の観察をおこなったところ、網膜の復位および視機能は保たれ、良好な手術成績を得ることができた。これらの結果から、黄斑円孔網膜剥離など内境界膜剥離を必要とする眼疾患に対して、BBGを使うことの有効性が示された。
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Research Products
(1 results)