2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791288
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 高明 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (70404514)
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Keywords | 薬物反応性 / 細胞・組織 / 神経科学 |
Research Abstract |
硝子体内薬物投与による網膜障害の臨床研究として、インドシアニングリーンによる視野障害の長期経過について調査・報告した。黄斑円孔の硝子体手術時に内境界膜剥離を併用すると、円孔閉鎖率が向上する。インドシアニングリーンは内境界膜剥離を容易にするため、世界中でさかんに使用されたが、高濃度で使用すると網膜神経節細胞を障害し、視野異常をきたす。我々は、以前その視野異常の特徴と、障害部位を特定する報告をしたが、今回長期に経過観察することで、それらの視野障害が進行するかどうかを調査して報告した。結果は術後3年まではわずかに視野障害の進行をみとめたが、その後はあきらかな進行を認めなかった。インドシアニングリーンは神経節細胞の軸索に長期滞留することで、視野障害が進行することがわかった。また、低濃度で使用した症例では、視野障害は無く、また長期でも視野異常が出現しないことも判明した。どのようなメカニズムで神経節細胞が侵されるのかは、不明であるが、インドシアニングリーンの直接的毒性がもっとも考えられる。最近神経節細胞には多くの種類があることが分かってきており、新規に発見されたメラノプシン神経節細胞はどのように変化するかを調べることは重要であり、今後の研究課題になる。この結果はインドシアニングリーンを使用する際の濃度決定に重要である。また、視野障害の長期経過を初めてあきらかにしたものであり、論文発表も行った。(Yamashita T, Uemura A, Sakamoto T. Retina, in press)。
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