2006 Fiscal Year Annual Research Report
Heat shock proteinを用いた視細胞変性に対する治療法の開発
Project/Area Number |
18791293
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
向井田 泰子 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (30405831)
|
Keywords | heat shock protein / 網膜電図 / ERG / 神経保護 / 視細胞 / 網膜変性 |
Research Abstract |
Heat shock protein 25(Hsp25)の発現は、脳の神経細胞を虚血障害から保護する。本年度は、外因性のHsp25が網膜光障害による視細胞変性に対する保護効果を検討した。 1.対象 8年齢の雄SD白色ラットを対象として用いた。 2.方法 1)Hspの硝子体内投与:Hsp25 lμg(1μl)をSDラットの右眼の硝子体内にハミルトンシリンジを用いて注入した(治療眼)。左眼の硝子体内には同量の溶媒を注入した(コントロール眼)。 2)網膜光障害:Hsp25の投与2日後に2,000 lux白色光を48時間照射して網膜光障害を作成した。 3)網膜電図(ERG)の記録:光障害作成の2週間後に両眼からERGを記録した。12時間の暗順応後に-6.0〜0.84 logcd/m2の刺激光0.3-0.4 log unit stepで調光しながら暗順応ERGを記録した。その後、34cd/m2の明順応下で明順応ERGを記録した。得られたintensity-response curveからScotopic threshoid response(STR)の閾値およびb波の閾値と最大応答を求めて、治療眼とコントロール眼間で比較した。 4)網膜組織:ERGの記録後に眼球を摘出し、トルイジンブルーで染色した。網膜外層に残存している視細胞の核数を20箇所で測定しその平均を求め、治療眼とコントロール眼との間で比較した。 3.結果 1)ERG : Hsp25治療眼では、STRおよびb波の閾値がコントロール眼に比較して有意に保たれていた。また、暗順応および明順応ERGb波の最大振幅は、治療眼でコントロール眼に比較して有意に大きかった。 2)網膜組織:Hsp25治療眼では網膜外層の杆体および錐体の核数が、コントロール眼に比較して有意に多く残存していた。 4.結論 外因性のHsp25は、視細胞を網膜光障害から保護することが明らかとなった。来年度は、遺伝性の視細胞変性モデルでHsp25の効果を検討する。
|