2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791301
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川北 哲也 Keio University, 医学部, 講師 (50408308)
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Keywords | 再試枝医療 |
Research Abstract |
今年度は、シングルセルから作成した角膜上皮シートと成体マウス角膜上皮との表現型、増殖能、未分化度を比較した。継代する途中で失ったケラチン12の発現(RNA, タンパク両レベル)はウサギ角膜実質、および輪部実質に上皮シートを移植することによって取り戻せるのかを調べたが、ケラチン12の発現はRNA, タンパク両レベルで認めなかった。そこで、ウサギの角膜上皮を、輪部を含め、大きく擦過除去し、アルカリ障害を加えた角膜輪部機能不全モデルを作成し、同時にマウス角膜上皮シート移植を施行したが、上皮シートの生着は認めなかった。今回のウサギ角膜輪部機能不全モデルは血管の侵入度、炎症の程度にばらつきが多く、シート移植の評価に少なくない影響があると考えた。そこで、マウスの全眼球を用いた実験を行った。マウスの全眼球を摘出し、Dispase処理を14時間4度で施行後、角膜上皮を完全に剥離し、培養皿に固定した。上皮をその上に静置させ、リコンビナントモデルを作成し、一週間、培養液をエアーリフティングの条件の器官培養を行い、その角膜切片を作成した。ケラチン12の発現は認めなかったものの、上皮を置かないコントロールと比較し、角膜混濁の抑制、実質細胞数の維持を認めた。これは、臨床に口腔粘膜培養上皮移植が応用されているように、重層化、非角化、安定した上皮シートが重要であり、角膜特異的ケラチン12が、角膜上皮シート移植時の安定性の絶対条件でない可能性が示唆された。しかし、これはあくまで推測であり、炎症細胞、血管侵入の抑制、角膜神経などとケラチン12が直接的、間接的に関係するのかどうかなど、それを結論づけるにはまだまだ課題は多い。
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