2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791318
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川添 剛 京都大学, 医学研究科, 助手 (20325351)
|
Keywords | 皮膚 / 保存 / ポリフェノール / カテキン / 移植 / 細胞 / GFP / 凍結乾燥 |
Research Abstract |
皮膚の組織や細胞を生きた状態で長期間保存することは難しい。一般的には4℃の低温下で保存しているが、最大2週間の保存が限度である。また196℃という極低温で凍結し保存することも可能であるが、正常細胞での凍結融解後の細胞生存率は低い。さらに組織となると様々な障害が生じ、凍結保存を難しくしている。われわれは、緑茶より抽出したポリフェノールのエピガロカテキンガレート(EGCG)を細胞培養液に加えることにより、皮膚を凍結せず低温・常温で長期保存することを試みた。また凍結乾燥状態で長期保存することを試みた。GFP-Tg Ratの背部より皮膚を採取し細胞培養液(DMEM+10%FCS)溶液、1mg/mlポリフェノール添加細胞培養液に4℃、37℃にて含浸保存した。保存皮膚を凍結切片にて細切し組織学的な観察を行った。また保存ラット皮膚片をヌードマウスへ移植することにより、保存皮膚の再生着を検討し、皮膚の生着の有無によって保存皮膚組織の生存を移植後4週で皮膚を採取し、組織学的に検討した。また生着率を求めた。保存皮膚の組織学的な検討では、4℃保存群では2週目よりEGCG非添加群でのGFP値の低下が認められた。5週目ではEGCGの添加に関係なく、表皮・真皮の変性が認められた。37℃保存では1週間ですべての群において表皮層の変性、剥離とGFP値の低下認められた。皮膚の移植実験の結果より、2週保存後では、移植片はEGCG添加4℃保存群において、良好な生着を認めた。4℃コントロール群では一部に線維芽細胞の生着は認めた。また37℃群では生着は認めなかった。4週6週保存ではEGCG添加4℃保存群のみ生着を認めた。生着率は37℃保存群で0%であり、4℃保存皮膚では2週保存時でも生着率のかなりの低下を認めた。またEGCG添加4℃保存群においては4週まで100%の生着率を認めた。以上より、ポリフェノール添加により皮膚がより安定に保存されることが確認された。また、ポリフェノールを用いて保存した皮膚の生体移植後の生着率が高いことが示された。また凍結乾燥皮膚では、現段階では移植組織の生着は認められなかった。
|