2006 Fiscal Year Annual Research Report
p21遺伝子のシュワン細胞における役割、及び治療への応用
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18791319
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 興一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90423178)
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Keywords | p21 / p75NTR / シュワン細胞 / ミエリン化 |
Research Abstract |
我々は過去の研究で、p21遺伝子ノックアウトマウスの坐骨神経損傷モデルの軸索径回復が野生型に比して有意に遅れることを報告した。末梢神経損傷後の再生軸索径の拡大にはミエリン化シュワン細胞が大きく関わっている事は以前より良く知られている。そこで我々は、まずp21ノックアウトマウスの坐骨神経損傷モデルにおける再ミエリン化を評価した。しかしながら、p21ノックアウトマウスの再ミエリン化は野生型マウスと有意な差を認めなかった。これはシュワン細胞におけるp21の欠落は他の因子により代償されることを意味する。そこでp21に関連する他のシュワン細胞のミエリン化に重要な因子の候補として、p21と同様にRho kinaseシグナル系に属するp75遺伝子に着目した。p75遺伝子は全てのニューロトロフィンと結合する事でよく知られているが、最近in vitroにおいてシュワン細胞のミエリン化に関わっている事が報告されている。この働きをin vivoにおいて解析する目的で、p75欠損マウスより採取したシュワン細胞を同種移植したモデルを作成した。このモデルの利点として、p75ノックアウトマウスの坐骨神経損傷モデルでは不可能であったp75欠落神経細胞からの影響を排除し、シュワン細胞のみにおけるp75遺伝子の解析ができる事が挙げられる。組織学的には、移植p75欠落シュワン細胞は宿主内において生着し、再生軸索に対してミエリン化を起こす事が免疫染色にて確認された。現在それら同種移植マウスの機能的及び組織形態学的回復を評価中である。
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