2006 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂患者の精神状態の分析と満足度に対する研究
Project/Area Number |
18791324
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
那須 和佳子 岩手医科大学, 医学部, 助手 (80282177)
|
Keywords | 唇顎口蓋裂 / 精神状態 / 満足度 / 自尊感情 / QOL |
Research Abstract |
当科で過去に口唇形成術あるいは口蓋形成術を行った唇顎口蓋裂患者の中で、総合的な治療が終了する時期である15-25歳の患者を対象として、患者自身の精神状態の分析と手術結果に対する満足度を調査すべく、アンケートを行った。 唇顎口蓋裂患者の親を対象にしたアンケート調査に関しては諸家の報告があるが、患者自身に対する調査はなく、またアンケートの内容も満足度や自己評価といった、唇顎口蓋裂という先天性の疾患とそれに関する個人の精神面を問うというデリケートな問題であるため、まず、患者の親に対して郵送および電話にて、患者ヘアンケートへの協力要請をしてよいか承諾を得てから行った。しかし、この時点で親の半数が、患者には疾患のことを話さないでほしいとの要望であった。先天異常である唇顎口蓋裂に対するプライマリーの手術は、乳幼児期の患者の記憶が残らない時期に行われるため、疾患については患者には告げないまま患者が思春期を迎え、家族間でのタブーとなっている家庭が多かった。逆に家族間で疾患のことがオープンに話題にできている家庭では、アンケートへの協力も得られやすかった。 調査は患者自身の疾患に伴う経験や手術に対する満足度といった主観的な内容に加え、SF-36および自尊感情尺度を用い、患者のQOLや自尊感情についても調査を行った。SF-36によるQOLの評価は高かったが自尊感情尺度については中等度からやや低いという結果であった。しかし、この結果はアンケートへの協力が得られなかった患者は含まれておらず、患者全体では異なる結果となる可能性も示唆された。
|